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TachiDaruma Story’s 彼が彼女に恋した日……

立ち達磨は1973年に町民を見守る為、
飛騨神岡の町を見渡せる山の中腹に住むことに決めました。
初めのうちは多くの人が訪れ、眺めも良く、とても気に入っていました。

しかし賑やかだった町も鉱山の休鉱とともに、空家が増えていきました。すると次第に訪れる人も少なくなり、とても寂しい思いをしていました。

そんなある日、雲一つなく空気の澄み切った晴天の朝でした。
はるか遠くに右手を高らかに挙げ、堂々とした佇まいの美しい
女性の姿が目に入ったのです。

晴天の澄み切った朝の短い時間だけ、彼女を見ることができました。

それ以来、そんな日が来るのが待ち遠しく、
満天の星空の夜に、次の日は彼女を見ることができるのではないかと、心躍り眠れない夜もありました。

普段は町の人々を見守り、時折やってくる晴天の日を心待ちに
して、充実した日々を送ることができました。
寂しい思いをしていた立ち達磨に、彼女はここに立ち続ける
意味を与えてくれたのです。
しかし彼女への想いは50年間、日に日に増すばかりです。
ついには秘めていた想いも周りに
気付かれてしまいました。

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